ミニスカ

ミニスカ=ミニスカートのことではありません。

ファンティ語でお金がない、という意味。

朝学校の中を歩いていると、休憩時間でたむろしている生徒たちにチャイナ、チャイナと囃し立てられる。これはいつものことなのだが、 今日はちょっと勝手が違っていた。というのも朝から知らない女の子にイタ電といたずらメールの攻撃を受け、かけてくるなと言っても繰り返しかけてくるのに多少気が立っていたからだ。多分、町で子供に携帯番号教えたのが友達に流通したんだろうな。

1回目は普通に通り過ぎたものの、次に道を通った時にチャイナ!と言われて反応してしまい、踵を返して生徒たちの方に向かった。家政科の前で女の子たちがスナックを売っており、男の子もそこに集まっている。俺は中国人じゃない、日本人だ、と騒いでいる子供に言う。すると彼はああ、そうといって、じゃあ何か食べ物買いなよと言ってくる。お腹いっぱいだからいらないと言うと、違う違う、俺は腹減ってるから買ってくれと言ってくる。明らかにからかっているのが目に見えたので、

「ミニスカ」

と捨てぜりふを残して立ち去った。

すると 後ろは大歓声である。ファンティ語喋った!ミニスカだってよ!みたいな感じ。

別に中国人って言われたことに腹が立ったわけじゃないのだが、もう少しフレンドリーな絡み方してくれればと思うのである。

さて、今日はCNC用のステッピングモーターの動かし方を考えていた。

ステッピングモーターの駆動にはドライバー回路が必要だ。MOSFETは町で手に入りそうだが、コントローラICは手に入るのか?ない場合はマイコンで自作することになりそうだ。というか、G-CODEからパルス信号を生成するソフトウェアの規格がよくわかっていない。Mach3は日本語だからLinuxCNCを使うことになるのかな。

色々と調べ物をしていると、ヘンリーがちょっと聞きたいんだけど、と話しかけてきた。

見せたいものがある、といってUSBドライブを挿して文書を開く。

文書にはラジコンボートの作り方が書いてある。ははぁ、これが作りたいのか。

作り方をダウンロードしたんだ、と計画書を見せてくれた

そして発泡スチロールで作ったボートを棚から持ってきた。モーターもつけてある。

彼によると、無線による制御回路をどう作ればいいかが知りたいようだ。

見せてくれた文書はラジコン用のリモコンを使っている。リモコンはあるの?と尋ねると持ってないという。

ここで持ってきた秘密道具の出番とばかりに、XBeeを見せ、これを使うと簡単に無線制御ができるんだと説明する。

これはガーナのどこで手に入るの?と聞かれたので、そうだよね、ガーナでは手に入らないと思う。だからこれは君にあげるよと伝えた。

口頭で説明するだけじゃわからないと思い、ラジコンボートを作るにはこういうシステムが必要だね、とノートに書いて作るべき要素を説明する。

彼の作りたいボートはスクリューではなくファン(プロペラ)で駆動し、フィンをサーボモータで動かすというものだ。プロペラは持ってるの?と言うと、設計してレーザーカッターでつくってみたけど風が来なかった、という。それもそのはず、ブレードとなる翼型にはキャンバーが必要だ。平板翼を軸に垂直に回転しても迎角がないので翼の上下面で圧力勾配は起こらず、風は発生しない。ちょっと待ってて、とヘンリーがCPUの冷却ファンを持ってきた。このCPUファンが使えないかな、と言うので少し重いかもね、と伝える。家にまだ別のがあるから明日持ってくるよ、とヘンリー。

しかし車でも飛行機でもなく、ボートを作りたいというのが面白い。なんでだろう、と思っていると別の文書を見せてくれた。そこにはエンジンでファンを回して推進する水上ボートの写真がある。父さんがこれと同じボートに乗ってたんだ、と教えてくれた。そうか、その姿を見てボートが作りたくなったんだと納得。

ここでヘンリーが、「でも、なんか納得出来ないんだ」と言う。聞いてみると、後ろに付いているファンを回すだけで人が乗ったボートが動くなんて信じられないと。ああ、確かに子供の疑問としては当然だ。例えば扇風機を回しても、勝手に前進したりしないから。「プロペラは後ろに空気を送り出しているんだけど、その空気というのは質量を持っている。そして力学の法則というのがあってね。僕がヘンリーを押すと、ヘンリーは僕を押したことになる。僕が机を押せば机は僕を押したことになる。これを作用、反作用の法則という。つまりプロペラが空気中の粒子を押すということは、プロペラは空気中の粒子に押されることになる。これがプロペラで推進できる原理なんだ」

彼は、そうなんだと笑顔で納得してくれた様子。ジェットエンジンやロケットエンジンも、機構は違えどもガスの排気による推進という点では同じようなものだ。ペットボトルロケットの実験とかしたら喜びそうだ。

面白いプロジェクトになるね、と彼に告げる。今日はこれで大丈夫だと言ってヘンリーは帰っていった。

さて、ステッピングモーターの続きだ。その前にお腹が減ったことに気づく。今15;30を回ったところだが、昼ごはんを食べていない。最近1日2食生活が続いている。朝8時に食べて、夕方17時に食べるといった具合だ。あんまり動かないのでこれでも大丈夫だと思っていたが、やはりしゃべるとお腹がへる。そうだ、トシコさんに教えてもらったNo.9近くのフライドライス屋に行ってみよう。

No.9とは場所の名前で、TTIの目の前の通りを北に10分ほど歩いた信号のある交差点のエリアの通称である。なぜNo.9っていうんだ、No.1とかNo.2はないのか?とみんなに聞いたら笑いながら、No.1とかNo.2はあるよ。そういやNo.6はどこだ?なんて話をし始めた。ダグラスが自分の家はNo.1にあるという。なんでNo.1って名前なの?って聞くと、「そりゃ自分の家は初めての場所だからだよ、なにが初めかっていうと」というところまで言って自分で吹き出し始めた。とりあえず誰も理由は知らないようだ。あとでエマニュエル先生に聞いてみたら、ガーナのミスコンに出た女性(タコラディ出身ってこと?)の登録番号がNo.9だったからとか、なんかいろんなことを教えてもらった。諸説あるのだろうか。

さて、歩いているとNo.9に着いた。しかし肝心のお店はどこだろう。散策しているとスポットを発見!スポットとはバーのことである。アクラでは立ち寄ったことがあるが、TTIの周辺では全く見なかった。しかも看板にフライドライスと書いてある。早速入ってみるが、電気がついておらず人影がない。閉まってるのかな、と店をあとにする。するとその隣にブースのフライドライス屋を発見。ここの事かもしれないと思い、フライドライスを頼むと売り切れとのこと。ジョロフライスを注文した。

フライドライスにはキャベツを入れてくれるのだが、すかさずマヨネーズも入れてくださいとお願いする。ライス系の食べ物にはシトというソース(食べラーという表現をされている方がいたが、まさにそれ)をかけてくれるのだが、シトとマヨネーズの組み合わせは最高においしい。シトはかつおだしの香りがするのだが、この組み合わせはまさにお好み焼きみたいな味である。

さて、ご飯を購入したのでTTIに戻る。帰りはトロトロで。

ご飯をすませて作業を進めていると、また停電だ。夜のファブラボは完全に真っ暗闇なので、片付けをして家に帰る。それにしても蚊が多い。

帰宅してもPCのバッテリには余裕があるので調べ物を続ける。また、ステッピングモーターの動かし方について、CNC自作の経験がある友人(メカ屋)と頼りになる後輩(回路屋)に相談する。2人の共通点はロボコンをやっていたことだ。ロボコンやってる人の技術はすごいと感心する事が多い。

ここでふとマイコンのプログラミングについて、あるアイディアがひらめく。ATtiny26をSTK500でプログラミングするのもいいが、ArduinoISPを使ってはどうだろう。ATmega328は多分ガーナで手に入らないが、空輸できるとしたら…

01. 9月 2012
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