やって来ました旋盤加工 / いざアクラへ

朝家の近くの道を歩いていると、エスタという女性に声をかけられた。TTIの先生のようで、日本人が来ているって聞いてたけど挨拶してなくって、と話しかけてくれる。

また、今日はファブラボ鎌倉とのスカイプを予定していたが、都合により次回に持ち越すことになった。

さて、今日はついに旋盤での加工が待っている。

加工するのはΦ14のシャフトだ。このシャフトにブッシングが入るようにΦ12まで径を落とすのと、両端にM6のスクリューが入るようにネジ穴を空けるという作業がある。

加工するΦ14のシャフト

加工を担当するのは機械科のアイザックだ。自分も旋盤加工の経験はあるが、経験豊富なアイザックに任せることにした。

鉄の切削には多量の熱が発生するので、冷却水を切削面に流し込みながら加工を行う必要がある。TTIの旋盤には自動で冷却水を送るポンプがついているが不調のようなので、ペットボトルに入った冷却水を主導で加えながら加工を行うことにする。

手動で冷却水を注入するアイザック

ペットボトルの中の冷却水がなくなったのでメンサ先生に相談すると、では自分で作りなさいと言われる。冷却水は機械油をバケツに入れ、水でうすめて作るのだ。

機械油をバケツに入れる

水でうすめて冷却水をつくる

そして作った冷却水を旋盤の冷却水プールに流しこむ。その後ポンプのモーターを回してみるが、冷却水が上ってこない。何か途中で詰まってるようだな、とメンサ先生が言ったその時、放った言葉が忘れられない。

「アイザック、吸うんだ」

え?と思っているとアイザックが冷却水の注入口を口に加えて吸い始めた。目の前の光景に言葉を失っていると、しばらくして冷却水が循環し始めた。言っておくと、この冷却水というのは鉄鋼の切りくずが大量に入った機械油が循環しているものである。これ以上は述べない。

冷却水が出るようになった

この写真を撮らなかったことが悔やまれる。まあ撮ったとしても、衝撃画像なので彼の名誉のために公開することはないと思うけれども。

さて、アイザックが旋盤加工をすすめる傍ら、アブーがココンペで買ったシャフトを削ることを提案する。提案の理由は、
(1) Φ12のシャフトにブッシングをはめてプーリーとの隙間を埋めようと思っていたが、ブッシングが真鍮であったために、鉄でできた別のものを探してこなければならないこと
(2)シャフト、ブッシング、プーリーの3者を一度に溶接することが難しいこと
である。したがって、プーリーの部分だけ径が大きい部品を自作しようということになった。

自作するシャフトの寸法を計算してシャフトを切っていると、4分の1くらい切ったところでアブーが貸してみな、と代わってくれる。

ココンペで買ったシャフトを切断する

相変わらずすごいパワーである。まさにターミネーターのようだ。一緒にいると自分がジョン・コナー(T2に出てくる子供)になった気分になってくる。そういえば、こないだこんなことがあった。普通は導線の被覆を剥ぐときはワイヤストリッパという器具を使うが、自分はワイヤストリッパが見当たらないときはニッパを使っている。スギちゃん風に言えば、ワイヤストリッパを使わなくてもできる俺、ワイルドだろう?と思っていた。そしたらこないだアブーが導線の被覆をいきなり爪で剥ぎ始めて腰を抜かした。細い線ではなく、交流240Vが流れる太い線だ。これも野生のエンジニアリングといえるだろうか。

切り落としたシャフトを拾うと、切削の際に発生した熱を帯びている。思わず、あちっと声を上げて台の上に置いた。しかしアブーはシャフトを握ってみるも、全然熱くないじゃないか、とすましている。完全に体の作りが違うようだ。

さて、アイザックが頑張ってくれた結果、部品の加工を終えることができた。

加工が終わったシャフト(Φ14→Φ12)

プーリーが入るようになったシャフト

スクリュー用の穴を両端に空ける加工がまだ残っているが今日はタイムアップ。月曜日に持ち越すことになった。

ここで昼休憩をとることにし、今日は何を食べようかなと行きつけのフライドライス屋に向かったが、たまには別のものを食べようと初めて行くレストランに入った。

メニューにある現地食はあらかた食べたことがあるので、スパゲッティを注文してみた。

久方ぶりのスパゲッティ

喉が渇いていたのでアルバロも注文した。スパゲッティはなかなか美味しかったが、久しぶりの洋食なので一段とそう感じたのだろう。

アルバロ(パイナップル味)。テーブルの上の洗剤にも注目

さて、 昼を済ませると今後の方針を話し合う。発電機については町に発電機を修理している店が2軒ほどあり、ここが中古の発電機を売っているそうなので手に入れることができそうだ。

問題は磁石である。アクラに行ってソドムとゴモラでHDDから磁石を取り出すという作戦にアイザックとダグラスも参加してもらえるか頼んでみたところ、2人とも都合がつかないとのことだ。アブーと2人でアクラに行く事にする。出発はTTIを今日の7時に出ることにした。

出発まで時間があるので、MOSFETを買いに町へ出た。

階段を登っていく

 いきつけのパーツ屋の看板

タコラディのマーケットの光景も既に馴染み深いものとなった。

町の市場の様子

さて、買い出しには思ったより時間がかからなかったので、一旦家に帰って出発の支度をする。ところで家に備蓄していた水が無くなっていたので、近くの店に買いに行く事に。15リットルで1.6セディ、だいたい60円といったところだが非常に安い。

ビニール袋に入った水(Sachet water)。歯で袋を噛みちぎって飲む

さて、約束の時間になるとアブーと2人でアクラ行きのバスが出るステーションへ向かう。ずっとタコラディに張り付いていたので久しぶりの旅行に胸が高鳴る。夜のタクシーから流れる大音量の音楽が、旅の感情を加速させるのであった。

 

 

15. 9月 2012
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