N-2モータ(フルグレイン)の燃焼試験に初めて成功
打ち上げまであと一週間。今日はN-2モータのフルグレイン試験に初めて成功した。最終的にシングルグレインのモータに対して、ノズルと燃焼室をアルミから軟鋼に変更、スナップリングの溝を深くするという変更が施された。午後3時30分頃、いつも試験を行っているラグビー場に到着すると、新しい学生たちが見学に訪れていた。本日の試験体は先週金曜日に点火装置の不具合で試験を見送っていたN-2ロケットに搭載するフルグレインの固体モータである。繰り返しになるが、これまで試験に成功しているのは検証用として製造したN-2ロケットに必要な推力の半分のみを出力するテストモータであり、最終製品となるN-2モータ(=フルグレイン)の燃焼試験は、これまでに一度も成功していない。
以下が燃焼試験の動画。カウントダウン!10、9,8、7・・・で点火してしまっているが、以前のようにノズルやバルクヘッドが射出されることもなく、また燃焼室の側壁が溶けることもなく、燃焼が完了している。記念すべき初めてのN-2モータの燃焼試験の成功である!
以下の動画は燃焼部分を抜き出したもの。ノズルと燃焼室の隙間からガスが漏れていることがわかる。Oリングの動作不良が疑われたが、学生によれば、本日の燃焼試験の前に燃焼室の側壁が若干膨張していることが目視で確認できたらしい。加工時の負荷で変形したのか、あるいは過去の燃焼試験の加熱で変形したのかは現時点ではわからないが、次回の燃焼試験で検証することにした。また、熱流束が最大となるノズルと燃焼室の接続部分が赤熱している。こちらについても次回以降にサーモグラフィで測定することで、加熱による強度の低下を分析・評価することとした。
夜に学生から送られてきた推力曲線は以下である。ひとつ残念な知らせとして、ゼロ時刻でのオフセット値、170[N]が発生しているため、計測された推力の460Nに正当性が得られないことであった。こちらも次回の改善点である。
今回試験した固体モータは先週水曜日に製造したもののため、6日程度経過している。経験上、我々の固体モータの性能は製造後の時間経過に伴って劣化する。したがって今週金曜日に、製造直後(1日経過したもの)のモータを用いて燃焼試験を行うことにした。