ゆっくりと過ごす日曜日
小旅行を終えた今日は完全休養日。
スイッチをONにするとジジジ…とショートしているような音がする。しばらくすると音が止んで電灯が点くようになるので、アリの巣を焼いているのだろう。
スイッチに侵入するアリの行列
やって来ました旋盤加工 / いざアクラへ
朝家の近くの道を歩いていると、エスタという女性に声をかけられた。TTIの先生のようで、日本人が来ているって聞いてたけど挨拶してなくって、と話しかけてくれる。
また、今日はファブラボ鎌倉とのスカイプを予定していたが、都合により次回に持ち越すことになった。
さて、今日はついに旋盤での加工が待っている。
設計変更の末に
朝学校を通ると生徒たちが外に集まっている。朝礼をしており、校長先生が二階席からスピーチをされていた。
校長先生の朝礼
話している内容はよくわからなかったが生徒たちは時折盛り上がっている。二階席から話すというのが面白かった。
みんなは映画好き
今日は残っている加工と組み上げ作業を粛々と進める。
まずは昨日片面しか取り付けなかったアルミニウム板を取り付けていく。
裏面に釘を打っていく
そして次は機械加工に関する寸法を確認する。今日の作業はベアリングを保持する板の穴あけ、旋盤によるシャフトの切削、そして追加のアルミニウム板のスロット加工だ。
ココンペで購入した鉄シャフト
機械科の工房を訪れ、本日の加工について説明する。シャフトを加工したいんですというと径はいくら?と聞かれたので、思わずアブーがM11.5です、と答える。先生は少し眉をひそめて、今なんて言った?と聞き返す。ちなみにM11.5という規格はない。みんなで顔を見合わせて笑うとアブーも間違いに気づいたようで、測ってみたら11.5だったんです、とにかくこのベアリングにはまれば良いのですがと言ってベアリングを差し出した。これは内径12だろうと言ってスケールを取り出して測ってくれた結果、ベアリングの内径は12、シャフトの外形もΦ12という事がわかった。
径が判明したので、ではこれを旋盤で削りたいのですが、と買ってきたシャフトを差し出すと、また先生の顔が曇る。そしてこれは何の材料だ?、と尋ねられる。詳しい材料は分からないが、高炭素鋼でないことは確かだ。高炭素鋼が切れなかったので、切れる素材のものに変えましたと答えると、これは亜鉛メッキ鋼(Galvanized steel)だろうと指摘された。さらにΦ12なんて店で普通に手に入るだろう、とたたみかけられる。ココンペではこれしか手に入りませんでしたと言うと、学校の販売所でも売ってるからそこで買ってきて持って来なさいと言われてしまった。
学校の販売所で購入するにはまたエマニュエル先生のサイン入りの要望書が必要なようだ。この手続きの煩雑さには辟易としてしまう。要望書をスティーブンに作ってもらって先生のサインを得るも、今日は販売所が開いていないとのことで明日以降の調達となった。この後に及んでスケジュールの変更は勘弁して欲しいが、仕方がない。
さて、木工パーツの穴あけだ。ベアリングを保持するためにきつめのΦ20とΦ27のドリルを探すがΦ27は見つからず、Φ26を使うことにした。やはりアイザックの穴あけは安定感がある。
板への穴あけ
穴あけの終わったパーツ
穴あけの加工が終わり、ラボに戻ると組み上げ作業だ。
ベアリングを埋め込んだところ
スクリューで仮組み立て
仮組み立てを終えたところで、今日の作業はひとまず終了となった。
さて、みんなは奥のパソコンの周りに集まって休憩している。パソコンのモニターで映画を見ているのだ。アイザックを初めとして、ファブラボの皆は映画好きだ。映画はおそらくダウンロードしたものだろう。今日はアベンジャーズで盛り上がっている。後ろから加わって見ていると、スティーブンはこの映画を一度見たようでいちいちシーンについて解説している。面白いことに、ネタバレしないでくれ、とか静かに見せてくれとは誰も言わない。一番盛り上がっていたのはハルクの登場するシーンだ。ハルクだけ異常に強い設定なので、ハルク強すぎだろと大爆笑している。ちなみにサウンドカードからスピーカーへの出力はできないようで、音が聞こえるのはヘッドホンをしているダニエルだけだ。それが理由なのか、スティーブンが勝手にセリフを入れていて面白い。脚本が若干変わっている。一つのモニターに10人くらいで集まって見るのは3丁目の夕日のような光景である。そういえばインドのクリケット中継はこんな感じで見ていたなあと思い出す。昔の大相撲の街頭テレビ中継もこんな感じだったのだろう。
映画が一段落すると、プーリーの諸元の計算について話し合う。原動機の回転数を2000rpmで仮定して角速度を計算し、プーリーのギア比を変えてベルトコンベアの速度を計算する。ベルトコンベアは5[cm/sec]を超えないように設計するとすると、減速比は少なくとも100以上必要だ。100はあまりに大きいのでもう一段プーリーを増やすことにする。こうなると追加のパーツ(支持プレート、シャフト、ベアリング)が必要だが止むを得ない。しかし、2段にしたところで状況は劇的に変化したわけではない。試しに1:13、1:13の2段を仮定し、第一段プーリーの最小外径で計算すると、2段目と最終段のプーリーが40cmとなった。思わず”It’s massive.”と肩をすくめる。
ところでプーリーの調達についてだが、これもココンペで購入することとなりそうだ。昨日の経験から判明しているが、ココンペでは決まったサイズが手に入るわけではない。「手に入るもの」が「手に入る」、つまりは、Just go and seeなのだ。
おそらく径が40cmのプーリーというのは非現実的なので、詳細な計算はあきらめて現地で手に入る最大のプーリーを探し、その径から減速比とステージングの構成を逆計算しようということになった。うん、これぞ自分が想定していた材料から構造が決まっていくエンジニアリングだ。
さて、今日も18:30から計画停電だ。停電は最近は1日おきに行われるようだ。なんでタコラディは石油が取れるのに停電するの?とスティーブンに聞いてみると、「タコラディで取れる石油は火力発電所に不向きとか?いや、自分も理由はよく分からない。ただ一つ言えることは、タコラディは停電するということだ」と言っていた。
エンターテイナー教会へ行く
昨日はなかなかにへこむ一日だったのが、今日はどんな一日になるだろうか。
今日は日曜日、エマニュエル先生に教会に行かないかと誘われていたので、2人の息子ダラーリとダラーと一緒に教会へ。
タコラディの教会
到着してしばらくすると、ダラーリに誘われて二階席へ上がる。
2階席から見下ろす
筆者は礼拝に参加するのは初めての経験だ。
参加しています
11時半を回ったところだろうか、2階席にいた子供たちが下に移動し始めた。自分も階段で列に並んでいるとAre you ready to dance?と言われる。何やらみんなで踊るらしい。
ここでフロアを見ると、教会の通路をみんなで踊りながら行進している。これは楽しそうだ。筆者は元来こういう人前で何かやるのはなぜか好きである。以前旅行でヨルダンの死海を訪れた時に、カラクから遠足に来ていた高校生たちと音楽に合わせてひたすら踊って場を盛り上げたのを思い出した。ちなみにFacebookのプロフィール写真にはその時の写真を使っている。さて、エンターテイナーの真価を発揮するときが来たようだ。
ここでいう踊りとは、曲に合わせてステップを踏む感じだ。こないだガーナに来た時にアゾントというダンスミュージックが好きになり、日本に帰ってからもひたすらYoutubeで見ていたのだが、その動きを思い出しながら踊っていると、教会の一同は大爆笑だ。
一人変なのが混じってることに気づいたおばさんたちがハンカチを振ってエールを送ってくれる。ハイタッチを求めてくるおじさんや、写真やビデオで撮影してくれた人もいた。
教会の通路を一周すると、2階席に戻った。地元の人々とコミュニケーションがとれて、楽しいひと時だった。まさに踊りは国境を超える。ちなみに礼拝が終わったあと教会の中を歩いていると、さっきのダンス良かったわよとおばさんに声をかけられた。ちゃんと顔を覚えられている。
礼拝の時間はなかなかに長く、終わったのは2時を回っていた。下の階に降りて行くと、おばさんがおみやげを配っている。中身は缶ジュース、ペットボトルの水、あとクラッカーだ。なんでこんなに長い時間じっとしていられるのかと思っていたが、これがひとつのインセンティブなのかもしれない。
バーゲンセールのごとくおみやげの周りに集まる
子供たちが雪崩のようにおみやげの周りに集まるも、何やら大声で女性に叱られている。子供たちは最後、と言われているようだ。
おみやげを受け取ると、建物の外へ出る。エマニュエル先生が向こうから歩いてくるが、教会関係者らしきガウンを羽織っている。話を聞くに、仕事を任されているようで忙しそうだ。あの建物入った?と指さされた建物を見ると、新しい建物の周りに人が集まっている。この建物は司祭のための宿泊施設だそうで、今日オープンしたそうだ。今日はそのお披露目で中を公開しているということなので、入って見学させてもらう。
中を歩いていると、子供たちが記念写真を撮っている。一緒に撮ろう!と誘われたのでお邪魔させてもらった。
教会に来ていた子供たちと
しかし、司祭の宿舎なのに、こんなに勝手に部屋に入って遊んでいいのだろうか。今日はお披露目の日とあって特別なのかな。
子供たちの勢いはとどまることを知らず、次の部屋に入ってベッドで写真をとっていると、部屋に入ってきたお兄さんに何勝手に部屋に入ってるんだ、出なさいと怒られていた。やっぱりダメだったんだ。
教会を後にすると、ジュリーのお姉さんの家でフフをごちそうになった。 当たり前だが、姉妹なのでジュリーにそっくりだ。
家に帰って少し落ち着くと、ラボに向かって作業をすることにした。ラボに到着すると扉の前でスティーブンに出会う。明日の作業はどうしよう、と相談してきてくれたので作業内容を確認した。進捗を気にかけてくれているようで有難いことである。
夕方のラボではXBeeの通信テストを行い、ライブラリが使えることを確認して家へ戻る。思いの外時間がかかり、時間は22時を回っていた。