ガーナに帰還

アムステルダムを経由して再びガーナはアクラに辿り着いた。
警戒していたコトカ空港での入国プロセスも、入国審査及び荷物チェックも以前より改善されている感じである。
空港の出口付近で係員にオフショア?と聞かれたが、オフショア開発というよりはオフショア金融のことを指していたのだろうか。

アクラではいつものように竹内さんにお世話になった。大変感謝である。
空港からアクラ市内に出る車内で夜の町並みを見ていると、何とも落ち着いた気分になる。
初日の晩は竹内さんの同僚の方々との食事にも同席させていただいて、楽しい時間を過ごすことが出来た。

さて、アムステルダムとは打って変わってアフリカの暑さである。
やはり気候が温かい方が思考も開放的になって、楽しいアイディアが浮かんでくる。

今回の滞在は2週間と短いが、前回のようなシビアなノルマが無い分、自由に動けそうである。
今回は可能ならばグループワークを通してグループ内でのインタラクションや、グループ間での競争が機能するか、という点も見てみたい。
以前にアイディア生成のグループワークをやったことはあるが、今回は実装も含めた本来のハッカソン形式にすることができればと思っている。
また、ジョンが提案しているGSMモデムを使った製品(まだ何をしたいのかよくわかっていないが)のプロトタイプを使って、実際に売り込みをかけることも期待している。
フフパウンダーでは進むことのできなかった、次のステージを見てみたい。

これからインターネットのバンドルとSIMを購入してタコラディに向かう。
暑い時期なので体には気をつけて今回の滞在を過ごすことにしよう。

03. 3月 2016
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飛ばない飛行機

3/7 (Sat)
・昼の便でキガリに向うため、空港へ
・色々な国に行ったが、コトカ空港の出発審査は自分が見た中では一番腐敗している 出発ゲートに辿り着くまでに平均3人の係員に賄賂を要求されるのが常である 今回も受難が待ち受けていた
・まずエボラ熱の関係で新たに設けられた検疫ゲートで、黄熱病のワクチン接種証明書であるイエローカードを見せると、カードの右端が破れていることにおばちゃん係員がイチャモンをつけてきた 「反対側の半分が無いからこの証明書は無効だ。残念だがガーナを出国させるわけにはいかない。ガーナから飛びたかったら金をよこせ」とのこと ここで不運にも、もしかしたら反対側を落としたかもしれないと錯覚してしまう(実際にはそんなことはなく、ただ単に端っこが破れているだけだったのだが)
・賄賂は渡さないと決めているものの、女性の係員に賄賂を要求されたのが初めてで動揺したこともあり、不覚にも20セディを渡してしまった
・飛行機に乗り込み、誘導路を進むも、着陸待ちなのかなかなか離陸せずタクシーウェイで待機している あと機内がやけに暑く、汗が噴き出してくる 離陸すれば涼しくなるのかな、などと考えていた
・定刻をしばらく過ぎてやっと滑走路に進入し、離陸のサインが点灯するが、なぜかパイロットがエンジンのスロットルを上げない 滑走路を徐行で渡り切ると、不思議にもターミナルの方に引き返していく
・ここで、機内空調が作動しないトラブルが発生したという旨の機長のアナウンスがあった エンジニアが点検するのでエプロンでしばらく待機するとのこと
・その後機内では水が配られたりしていたが、30分くらい経ったところで機長から全員降機せよとのアナウンスがあった
・出発ゲートに戻り、再度待たされる この時既に1時間半が経過しており、ナイロビでのトランジット時間は3時間であるため、間に合うか?と心配になってくる
・ベンチで寝ていると、3時間ほど過ぎたところでケニア航空のスタッフがフライトをキャンセルすることを発表した 結局機材トラブルを解決できなかったとのこと 乗客が怒り狂い、スタッフに詰め寄っていた 暑い中ひたすら待たされた後でのキャンセルだったので気持ちはわかる
・本当にケニア航空には毎度トラブルがつきまとう 前回使った時も、ナイロビ空港でスーツ−ケースをどこか別の空港に送られた
・最終的にキャリアが用意したホテルに案内されることになった シャトルバス内では早くバスを出発させろという客と、残りの客を待ってやれという客の間で喧嘩が始まった ケニア人、タンザニア人、ガーナ人あたりの国際紛争になっていたが、”Can you just shut up”とか”I am wiser than you “とか、ハイクラスにも関わらず小学生レベルの口喧嘩だったのが興味深かった 聞き耳を立てていると彼らは投資家、国連関係、保険・金融関係の仕事をしているようで、アフリカ人の金持ちはやっぱりこういう職業なのかと感慨深かった
・ということで、明日の同時刻の便でキガリに向うことに

07. 3月 2015
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On the right track

3/6 (Fri)
・やはりガーナの一般的な人々の経済的な問題は深刻であると思った FabLabの生徒も経済的な面でラボから足が遠のいている
・エドワードは両親が亡くなって学費が払えなくなり、TTIを中退した 地元のスーパーで働いているのをたまたま目撃したTTIの先生が学校に連れ戻したとのこと
・学校でも最優等の成績であり、期待の星でもあったヘンリーも、学費が払えないために工科大学に進学できず、地元で働いている
・アブーが昔言っていた、ガーナではいかに才能があって努力を怠らない人間でも、恵まれた家に生まれないと出世できないと言っていたことが思い出される
・やはりFabLabからの事業創出が求められているという念を新たにした
・タコラディを後にし、アクラへと向う
・Kumasi PolytechのAddoさんと国際見本市(International Trade Fair)の会場で再会する
・見本市ではJETROブース(ナイジェリア事務所)やGRATIS foundationのブースもあった
・Addoさんは現在300W程度のソーラーパネルのインストレーションを受注している パネルは1000GHCと言っていた(インバータ、ディープサイクルバッテリー含む?)
・Addoさんが計画中のビジネスについて話を聞く スターリングエンジンによる排熱発電の話が出た
・夜はJICA職員(インフラ、産業振興)、JETROからの出向の方、アイシーネットなど開発コンサルの人たちと夕食を食べた
・現地法人の設立について質問するも、ガーナでの登記プロセスに明るい人はいなかった ヨシケントラベルの社長と話してみてはというアドバイスを受けた あとはナイジェリアのJETROラゴス事務所など
・話を聞いていて、やはりガーナにおいて外国人が戦う上では、何かしらの強い権力とのコネがないと難しそうだという印象を受けた ガーナの文化紹介などを行なうNGOや、在京ガーナ大使館に飛び込み営業でコネをつくっていけというアドバイスを受けた

06. 3月 2015
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今回のまとめ

3/5 (Thu)

◯その1
・タコラディでの最終日 ユーザーテストにあてる
・朝、副校長であり、元FabLabディレクターのエマニュエル先生に挨拶しに行ったときに、そういえば最近PhDとりました これからはDr. Shoheiですというと、飛び跳ねて喜んでくれてこっちも嬉しくなった これからのアフリカでの戦いに良い影響を及ぼすことを期待する
・まずTTIの目の前にあるGod is Love Chop barに行く
・ダグラスのアドバイスで、最初から機械を持っていくのではなく、まずマネージャーと話をつけてから改めてマシンを持っていくことに
・マネージャーを呼んでもらう コミュニケーション能力の高いStephen(というもののガーナ人は全般的にコミュニケーションが極めて上手)がコーディネートしてくれて助かった
・マネージャーはひとしきり話を聞いた後、さらに上のマネージャー(おそらく一番偉い人)を呼びに行った
・機械の説明をすると、なかなか興味深く聞いていたようだった
・衝撃の事実が判明するのだが、数年前にTTIのOBの学生がフフパウンダーを開発して、このレストランに納入したとのこと!
・現場を見せてやる、といって裏口からレストランの内部にいれてもらう 良い展開
・マネージャーいわく、昔TTIの学生が作った機械は、買って使ったもののすぐに動かなくなり、現在は放置されているとのことだった 見ると、自分の開発したパウンド式ではなく、ミリング式のものだったが、両者を折衷したような、初めて見るデザインだった なかなかクリエイティブな代物で、TTIの学生やるじゃんと思った
・しかしこの一件があってから、TTIで作られたフフ調理器には少しdisappointedな様子だった TTIの学生は頑張ったのに、少し勿体無い気はする
・説明を受けた後、別室に案内されると、さらに衝撃の事実が明らかになった なんと、フフ調理器を所有していた!しかも2台!両方ともミリングタイプで、デザインが微妙に異なっていた 一台は新たに購入したものらしい 価格は2,700GHC。
じゃあEffia Kumaで見た、God is Loveにフフを納入している機械は何だったんだ?と疑問が生じた Stephenに尋ねると、自分も混乱していると言っていた Stephenはもしかすると、Effia Kumaのおじさんの勘違い(?)もあるかもしれないと言う インタビューの信ぴょう性が疑われる事案だったが、自分が解釈するに、「ごくたまにGod is Loveからフフを買いに来ることがある」ということだと思われる
・Chop barを後にし、ラボでStephen、ダグラスと議論する

◯その2
・Chop barでの聞きこみ調査で明らかになったことは、早く大量にフフを作れることがニーズであり、パウンド式のマシンはあまり求められていない、とのことだった
・しかし、今回の機械のターゲットはそこではない 最終工程でフフを成形するときに必要なパウンドを自動化することが機械の目的であり、そこにニーズがあるかが焦点である
・攻めるべきは調理場のおばさんたちだが、今回の機械の完成度ではそこは攻められなかった 理想的なシナリオとしては、調理場のおばさんたちに「これは便利!マネージャーこれ買って」という声を挙げてもらうことで、マネージャーを納得させることである
・そのおばさんたちをうならせるためには、きめ細やかな速度制御や、安定性など、もう少し機能的に詰める必要がある
・そうこうしていると、TTIの先生方がラボに物色しに来た。意見を聞きたい、というと、デモが無いとわからない。話はそれからだ、と言われる。これまではここで終ることが多かったが、実際に動かしてみせると「おお、本当に動いてる!これはすごい!素晴らしい機械だ!」で終わった。コンテンツとして消費してくれるな(単にネタとして楽しまないでほしい)と思う反面、やはり動く機械を見せることはガーナでは大事だと認識した、
・デモを「デバ(大規模な展示会)」でやって意見を問え、という意見をもらった どうやってメディアに周知したものかと思案していたが、こういう場でお披露目をするのが定石らしい 次のデバは5/1のメーデーにあると聞いた また、年に1回の別の展示会もアクラで開かれると聞いた
・服飾科のおばさん先生が機械が動いてるのを見て「テクノロジー!」と言ったのが面白かった
・両サイドのレールにローラーをつけて滑らかに滑らせろという機能的なフィードバックが一番多かった
・ミリングタイプではない、パウンド式(Natural poundingと言っていた)は、製品としては流通していないので、みんなの目をひくらしい
・ミリングタイプにはハエがたかるという難点があるとのユーザの指摘を受けた 確かにパウンド式は人が手でこねていることもあり、ハエがたからない
・全部自動化してしまえばいいのに、という声もあったのが興味深かった
・そもそもの疑問として、ミリングですりつぶしたキャッサバを手でハンバーグみたいにこねるだけではダメなのか、という疑問があった(装置の必要性に関わるかなり根源的な疑問だが) これに対するStephenの返答もまた衝撃的なものであり、(1)手でこねるだけではフフを十分に成形することはできないこと、(2)左手は調理に使ってはいけないこと(ええええ!!)というものだった ガーナではムスリム、クリスチャン問わず左手は不浄とされており、例えば年長者への挨拶において、左手で敬礼することは失礼にあたる
・本当かよと思って映像を解析したら、こねる人は右手のみを使っていた!これは新しい発見である
・フフを一人でつきながらこねるおばさんを見たことはあるが、何か不自由な格好で突いていたことを思い出した 仮にこの左手禁止ルールが不自由をもたらす制約となっているのだとすれば、ここに勝機はあるかもしれない

◯その3
・フフマシンの話に戻ると、God is Loveのマネージャーいわく、そもそもあのマシンはVolta Regionの小さい工場で製造されたらしい
・ヴォルタリージョンは遠いし(アクラの北東)見に行けないなあと思っていると、もしかするとタコラディのGRATIS foundationで作っているかもしれない、という話が出た
・GRATIS foundationとはTTIのように工業研修を行っている団体とのこと したがって行くことを即決
・タクシーとトロトロを乗り継いでGRATISに到着した 敷地に潜入する直前に、便宜上少しマネージャーに嘘をつくから口裏を合わせてとStephenに言われる 先生なのになかなかワルな一面あるなあと信頼を新たにする 実際はそこまで嘘ではなかったが
・GRATISはTTIに引けをとらない機材を所有しており、色々な機械を製造していた
・フフパウンダー的なものも置いてあった 参考までに、ある機械は5,000GHCだった。
・フフパウンダーは以前設計したことが有り、現在も改良を続けているとのこと やはり大量生産に目が向いており、パウンド式のものは作ったことが無いと言っていた
・調査の最後として、Effia Kumaにある、武居さんと行ったレストランに再度調査に行く
・機械をEffia Kumaに輸送するのは困難なので、iPadで映像を見せてフィードバックをもらうことに
・母娘3世代に機械の映像を見てもらう 怪訝な顔して見てるなあと思っていたら、割と印象は良かった おそらく一番重要な発見としては、「フフをつくのは人間ではなければならない」と思っているわけではなく、楽になるならそれに越したことはない、と思っていることだった
・タダなら買ってもいいよ、と軽口をかましてきたが、ディスカウントなどを説明すると、興味はありそうだった
・スピードコントローラの機能はウケた 現地の人にはシーリングファンのアナロジーがわかりやすいらしい 従来のフフパウンダーは全力で原動機を回すだけなので、低速回転の機械は新鮮だったらしい
・筐体のコストを下げることは必要である どこまでの値段なら買うかという点ははっきりとしなかった(実際の価格交渉ではないので、単なる質問には意味が無さそうだった)
・バッテリは電気がなくても使える反面、イニシャルコスト(新品で300セディ、中古で60セディ程度)の問題と、充電の問題があった。ラボではUPSの出力から充電していたが、チャージコントローラも附属して売る必要がある(高くはならないが、たぶん双方向サイリスタとかの部品が必要) もう少し太陽発電が普及してくると、太陽パネル+バッテリ+フフパウンダーの抱合せで売れたりして面白くなるのだが

◯その4
・以上をまとめると、
1.fufu調理器は、実は流通している。GRATIS foundationなどのローカルの製造拠点もガーナに存在することがわかった。
2.しかしミリングタイプではないパウンド式の機械(先生がたはNatural poundingと呼んでいた)は存在せず、潜在的なマーケットは存在するとの確信を得た
3.レストランの需要は「早く大量に作れること」にある。キャッサバをすりつぶすことであり、質にはあまりこだわっていない。
4.一方でレストランのおばさんたちは、実は手作業でのフフパウンディングは重労働だとは思っており(これ重要!「汗をかく」、という表現を使っていた)、この層をターゲットとして進める路線が良さそうである。この層はレストラン・一般消費者ともに存在する。今思ったが、一般家庭に普及させてから(フフパウンダーをフフの成型に使うことが当たり前になってから)レストランのおばさんたちに導入してもらうという逆シナリオもありだと思った

05. 3月 2015
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一号機の完成

3/4 (Wed)
・明日は学期末休業で学校が休校になるので、今日が最後の作業日になる
・レーザーカッターでコントローラボックスを作成した
・朝食のパイナップルを学校近くの露店で買っていたら、少年が声をかけてきた 何を言ってるか聞き取れなかったので何度も聞き返すと、お姉さんが中国人のあなたと友達になりたいから電話番号聞いてこいと言われたとのこと。周りを見渡すとそっぽを向いてる女の子がいた。意味不明だったけど一応電話番号教えたら、昼夜を問わず一日中無言電話をかけてきた。本気でやめてほしい。
・溶接科のエマニュエルにひたすらアーク溶接をお願いする 今回は彼がいなかったらプロジェクトが成り立たなかったので感謝である
・モータにはめたアルミカップリングにネジが切ってあったので、ボルトをシャフトに溶接してカップリングを作成する
・試運転すると、モーターが滑っているようである
・モータの回転軸を見ると、アルミのネジが完全になめられていた
・普通は旋盤でカップリングを作ることを考えるが、モータの回転軸とドライブシャフトを直接溶接することにした 軸が出るかが不安なのと、モータへの温度の影響が心配されるため、比較的あり得ない解決策だが、時間がないのでやむを得ない
・コントローラで速度を調節して運転が可能になった が、テスト中に急にモータが動かなくなった
・溶接時の高温によってモータが焼損したか、過負荷でブラシが焼き切れたことを疑う
・モータのシャフトを切断して、予備で持ってきていたモータに交換することにした しかし、交換前にバッテリを直結してテストすると両方とも動いた。すなわちモータは壊れていない
・トラブルシュートした結果、モータのドライバICの過電流による焼損が疑われた。乗用車用の40Ahのバッテリを使ったことが仇となった可能性がある
・ここで機械科のクロードが出てきた カップリングを作ってやると意気込んで、旋盤を動かしにいった もう一日早く手伝ってくれればと愚痴も言いたくなるが、一週間に一度しか電気が来ないために機械科の設備が使えなかったので、やむを得ない
・旋盤チームは時間がかかりそうだったので、こちらは溶接オンリーで進めることに
・停電ギリギリになって一応完成したが(18時丁度に停電!)、機構の精度が低すぎて、人間の補助が必要といった有様である
・いずれにせよ、第一試作機は完成した 全力は出しきった
・明日はこれを使って近隣のレストラン等に対してユーザーテストを行う

04. 3月 2015
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