オンライン講義はじまる
日本の多くの大学では新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響でオンライン講義が実施されていますが、アフリカでも同様の状況が生じています。
筆者は普段はケニアの国立ジョモ・ケニヤッタ農工大学(JKUAT)に勤務していますが、COVID-19の影響で日本に一時帰国しています。JKUATではメカトロニクス工学専攻の修士課程を対象としたCAD/CAMの講義を担当しており、PAUSTIの大学院でも製品設計に関する講義を担当しています。PAUSTIとは正式名称をPan African University Institute for Basic Sciences, Technology and Innovationといって、アフリカ連合が設立した大学院大学PAUの一端を担っています。
このPAUSTIの講義が2020年の3月から授業が始まる予定だったのですが、同時期にケニア国内の大学を含む全ての学校がCOVID-19のために閉鎖となってしまいました。現時点では9月1日の大学再開を目指して準備が進んでいるそうですが、このたび遠隔にて授業を行うことになりました。
遠隔授業が始まった経緯は少し変則的でした。3月末に日本に帰国してから自分の担当する大学院講義はどうなるのだろう?と疑問に思っていたのですが、とりあえずはコーディネーターからの指示を待っていました。しばらくしても特に連絡がなく、現地はそれどころではないのかなと思っていたところ、5月19日に突然私の講義に登録していた学生から連絡がありました。いわく、「コーディネーターに聞いたら貴方が講義の担当らしいが、オンラインで講義するかどうかを教えてほしい」とのこと。コーディネーターに現状を確認すると、他の多くの授業は遠隔で開催しているよと教えてもらいました。そんなことなら早く教えてくれれば良かったのに〜と思いつつ、じゃあ来週から授業を始めようと学生には伝えました。
そして、数日前にZoomで行った第一回目の授業の様子がこちらです。
講義に参加する大学院生は5名で、国は様々です。ケニア、ジンバブエ、マラウィ、あと国名を忘れてしまったのですが、フランス語圏から来ていたと思います。このようにPAUSTIにはアフリカの40カ国程度から留学生がやって来ており、国籍は様々です。余談ですが、入学式ではアフリカの国名がAのアルジェリアからZのジンバブエまで読み上げられ、自国が呼ばれると該当する学生が起立してアピールします。さながらオリンピック代表団のような光景です。
さて、第一回目の授業は3Dモデリングと3Dプリンティングがテーマでしたが、あらかじめ準備してくるように指定した3D CADのAutodesk Inventorを学生の多くがインストールできていませんでした。どうやらネット環境が思っていたより芳しくなかったようです。通信環境について先週Zoomで尋ねた際には、皆問題ないと言っていたわけですが、やはり途中でダウンロードが止まってしまったりと障害はあるようです。授業中にもネットワークが寸断されて何回かZoomからはじきだされてしまった学生もいました。私がケニアで授業をしていたときは、あらかじめUSBドライブに授業で使う全てのソフトウェアのインストーラを入れて学生に渡していたのですが、今回は遠隔のためそうもいきません。ネット環境が比較的良い学生にオフラインのインストーラを落としてもらえるかを試してもらい、様子を見る予定です。
講義へのコメントとして寄せられたのが、CNCの設計について学びたいというリクエストでした。これは私が色々と取り組んできたことですので、楽しんでもらえるような内容の講義ができると思います。
来週はPCBの設計について講義する予定です。