ムチャぶりからの本領発揮

朝6時前に目が覚めると、むちゃくちゃに腰が痛い。寝返りが打てないほどだ。昨日の午前中から腰の調子がおかしく、すぐに治るだろうと思っていたが逆に悪化している。腰を曲げると痛いので靴下を履くこともままならない。ベッドの腰のところのリブがちょうど抜けているので、腰が湾曲した状態で寝ていたのが原因だろうか。だとしてもあまりに急だ。原因はわからないが、安静にすることにしよう。

さて、朝ごはんを食べてラボに着くとアブーがビニールカッターのCAMM-1を分解して修理していた。中身を覗くのは初めてなので興味深い。

ビニールカッターの分解修理

しばらくすると部屋に入ってきたスティーブンに話があると言われた。ファンディングが下りたかな、と期待して話を聞くと、校長先生からお願いがあるとのことだ。え、一体何ですか?と尋ねると、作って欲しい回路があるとのこと。TTIには始業時と就業時に鳴らすチャイムがないのだが、自動で音を鳴らしてくれるものが欲しいとのことだ。日本に帰るまでに作れるか?と聞かれたので、もちろん作れますよと答える。マイコンで時刻をカウントすればいいので簡単だろう。あともう一つ校長先生からの頼みがあるとのことで詳細を尋ねると、来週日本に帰るまでにプログラミングを教えてもらうのは多分不可能だろう、なのでネットで無料で利用できる教材を教えて欲しい、とのことだ。もちろんネットには大量の情報が転がっていて、自分もそれなしにはやっていけないのだが、体系的に学習するチュートリアルと言われるとなかなか難しい。かっちりした教材は大抵つまらないんだよなと思いつつ、ネットにはあると思うので探しておきますと伝える。しかし、お願いをお願いで返されたのにはびっくりした。まあ人に頼まれると燃えてくるのがエンジニア魂である。

さて、アブーはビニールカッターを修理し終えると、今度はAudioCraftに行ってスピンドルを修理してくるとのことでラボを出ていった。

こちらも今日の作業をすすめる。昨日EAGLEで設計した基板パターンの修正だ。というのも、朝何気なくパターンを眺めていると、マイコンの出力端子に接続がないことに気づいたからだ。またあの配線をやり直すのは億劫だが仕方がない。パーツの配置は昨日のパターンをほとんど真似すれば良いので手間は少なくなっているのだが。

さて、パターンの修正を終えるとMODELAでの切削に移る。ダニエルがUbuntuマシンを使っていたのでcam.pyを使いたいんだけどと伝えると、設定をやってくれるという。MODELAをセットアップし、cam.pyでRMLスクリプトを生成してMODELAへ送信した。するとビットが太いようでうまく削れていない。走査スピードも速いせいか切削面もガタガタだ。あとで確認したところだと、ドリル用のミルを使っていたとのことだ。MODELAによる切削についてはアブーが帰ってきてから相談することにした。

分離器の作業はアブーが帰ってこないと進まないので、ICソケットを買いに、あと先ほど頼まれた自動チャイムの仕様を固めに、ネットの速いVodafoneに行く。

いつものパーツ屋でICソケット28ピンというと、ATmega328Pで使える28ピンのソケットが手に入った。1個50ペソで、14個購入した。

パーツを購入し終えると、Vodafoneに向かう。ちなみにこの間両替屋に寄ったのだが、こないだ1セディ=2ドルだったのが、1.96ドルに下落していた。

 

ドルが下落した

さて、Vodafoneにつくと、ネットの散策だ。調べてみるとAVR自体で時間を測れないこともないが、1日数秒程度の狂いが発生するようだ。セイコーのRTC-8564NBというリアルタイムクロックICを使えば正確に時刻が測れるそうだが、このICがガーナで手に入るかどうか。テンキーとLCDパネルを付けて現在時刻とアラーム時刻を調整できるようにすると使い勝手がよさそうだ。LCDはラボの棚で見かけたので、テンキーが手に入るかどうかを調べる必要がある。もしなければプッシュスイッチで自作すればいいだけだ。一方でハードウェアについても考える。チャイムの音は大音量のベルを使おうと思い、自転車のベルをモーターにつけたワッシャーで叩く方式がよさそうだと考える。要は目覚まし時計のベルを大きくしたようなものだ。自転車のベルはTTIの近くの自転車屋でも手に入るだろう。

さて、仕様がだいたい決まるともう一度同じ電子パーツ屋へ。リアルタイムクロックICのRTC-8564NBをくださいというと、聞いたことないなあという対応をされる。ちなみにこの店に来ると毎度言われるのが、サンプルを持って来いという言葉だ。要は型番よりも現物を見せるほうが速いということだ。ガーナで電子部品を買う人というのは、部品が故障したので取り替えるために店に来ていることが多い。したがって、少なくとも故障した部品という現物はひとつ持っている。しかしながら自分のように自分で仕様を決めてから部品を調達するということはあまりないようで、店側を困らせることが多いのである。

結局リアルタイムクロックとテンキーは手に入らず、プッシュスイッチを12個購入してかえることになった。プッシュスイッチはひとつ20セディ。

さて、お昼ごはんを食べようと家に戻ろうとすると、TTIの中で調理科の女の子に声をかけられた。ケーキ作ったからどうぞとのこと。一口ごちそうになると、すごくおいしかった。

調理科の女の子がケーキを振る舞ってくれた

最近はもっぱら米と鶏肉しか食べてないような気もするので、こういうお菓子を食べたのはいつぶりだろうか。再びになりますが美味しかったです。

さて、昼食が終わるとラボに戻ってArduino1.0で更新されたTimeAlarmライブラリを試すとうまく動作した。

一方でラボでは皆が思い思いのものを作っている。 エベネザは先週から一人でひたすらものづくりをしている。何を作ってるのと聞くと、シャンデリアを作っているそうだ。シャンデリアといってもガーナの伝統的なデザインらしい。展示のための作品?と聞いてみると笑いながら、いや、ただ家に送るためだよと言っていた。そうか、彼も下宿組なのか。
TTIの生徒はホスティルと呼ばれる大人数の寮に下宿していることが多いと聞いた。実家にプレゼントを作って送るとは殊勝な心がけである。

エベネザが製作中のシャンデリア

また一方では、アイザック(シニア アイザック)先生のナナが、アイザックにじゃれついている。ナナはラボにやってきてはラボのメンバーにちょっかいを出しており、ラボの人気者である。ナナは保育園の年長くらいの年齢だろうか。

アイザックに抱きつくナナ

そうこうしているとアブーがAudioCraftから帰ってきた。少し疲れた様子だが、CNCのスピンドルは無事に治りそうらしい。あとは配線だけなので、明日の朝配線をして、それから自分たちのローターを切り出そうということになった。

チャイムの回路を作ってたの?と聞かれたので、うん、もうほとんど出来たよと答える(ほとんど出来たというのは言いすぎだが)。スティーブンもラボにやってきたので、もうチャイムができそうだよと伝えると、もう!?と驚いた様子だ。すると何やらスティーブンが口を開いた。プロジェクトで忙しいと思うけど、プログラミングを自分も勉強したいんだ、だからいる間にできることでいいので教えて欲しいと言われた。これは大歓迎だ。ICTラボの先生とはいえ、アプリケーションベースの教育プログラムの中ではプログラミングを教えられる先生は少ない。実用的なものを作ることを通してプログラムの原理などを理解できれば、かなり効果の大きい教育になるのではと思う。

さて、その後はMODELAでの再切削、LCDパネルの表示テストなどを行う。びっくりしたのはLCDパネルが30個くらい入った箱がラボに置いてあったことだ。LCDパネルはないだろうと思っていたのに、こんなに持っているとは。1個分けて欲しいくらいだ(笑)

LCDパネルのテスト hello, abu!

さて、作業をしていると18時を回ったところで今日は停電だよ、と生徒が伝えに来てくれた。ちょうど作業の切りも良いので後片付けをすることにする。

さあ、明日の朝はAudioCraftでの切削だ。

21. September 2012
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