カクム国立公園
今日はアブーとエマニュエル先生、そして奥さんの4人でカクム国立公園へ出かける予定である。
朝エマニュエル先生のお家で朝食をとると、ドライバーが来る10時頃まで家で待機することに。
家に戻ると、子供たちが集まって遊んでいた。写真を取ってくれというのでカメラを向けると各々がポーズをとり始めた。
そろそろ時間かなと思っていると、エマニュエル先生たちが家の前まで車で迎えに来てくれた。TTIのロゴが入った4WDのジープを運転するのは運転手のオズボーンである。Effa kuma辺りまでは少し渋滞していたが、最初のチェックポイントを抜けると車も少なくなり、快調なスピードで飛ばしていく。少しスピードを出し過ぎにも思えるが、エマニュエル先生も何も言わないことからこれが普通なのだろう。
エルミナに着くとガソリンスタンドに寄った。ガソリンを入れている間、売店に入ってお菓子などを購入する。エマニュエル先生にビールは好き?と聞かれたので、はいと答えると缶ビールをおごってくれた。TTIで周りにいるガーナ人はお酒を飲まないと思っていたが、普通に飲むようだ。アブーにもどう?と聞くも、アブーは自分は結構ですと言い、2人で笑っている。アブーはムスリムなのでお酒は飲まないが、こういうやりとりは少しひやっとする。もちろん本人同士の信頼がある上でのジョークなのだが。
さて、エルミナを過ぎてしばらくするとケープコーストに到着した。この辺りは前回ガーナに来た際に訪れており、見覚えのある風景だ。カクム国立公園へはケープコースト大学を通り過ぎた次のラウンドアバウトを左折して北上していく。 程なくしてカクム国立公園に到着した。
一瞥した所、外国人が多いようである。アジア系よりは中東(レバノンなど)、南アジア系(インドなど)が多いように思われる。フランス人の団体も見かけた。
入場料を支払うためにエマニュエル先生が受付に向かっていく。係員と話しているエマニュエル先生の顔が少し曇っている。話を聞いてみると、入場料が66セディという。なんでそんなに高いの?と思って内訳を尋ねるとガーナ人は12セディ、外国人は30セディということらしい。30セディというのはいくら何でも高すぎるだろうと思うも仕方がない。12セディというのもガーナ人にとってはかなりの大金である。受付に行って支払おうとすると、学生であれば15セディで良いと言われる。航空券の購入に国際学生証が必要だったので、作って持ってきたのだが、あいにく家に置いてきたままだ。今日は持ってきてないのですが、と伝えると今回は見逃してあげると15セディで入れることになった。
しばらく待っていると、ガイドが集合の合図をかける。20人程度の集団で吊り橋を目指してトレッキングの始まりである。
この時期はガーナはさほど暑くないので、トレッキングには適しているかもしれない。体の大きい女性などは息が切れていて大変そうだ。耳を済ませると、この女性はベンガル語を話しているようだ。バングラデシュの出身か、インドの西ベンガル州から来ているのだろうか。dekho, dekho(よく見て)と子供に話しかけている。
ここでガイドが立ち止まって説明を始めた。ガイドは緑色の軍服のような服を着ているお兄さんだ。カクム国立公園は国立公園ということなので、彼は公務員なのだろうか。あるいは大学を卒業してから企業等で勤務するナショナルサービスなのかな?などと考えていた。彼はカクム国立公園にある吊り橋は90年代にオランダ人の主導のもとに建てられたものであること、自然に生えている大木を利用していること、吊り橋の耐荷重は象の2匹分くらい、などを解説してくれた。カクム国立公園には鳥や虫などの多様な生物が棲息しているものの、夜行性であるため昼間に見ることはできないと言っていた。ハイキングツアーも別に開催しているようで、山の中にキャンプで泊まりながら夜の散策を楽しむことができるらしい。
説明を終えて歩みを再開し、しばらくすると吊り橋の近くにたどり着いた。 なるほど、これはすごい風景だ。
一度に4人程度、という制限があるので一団体ずつゆっくりと進んでいく。
初めの方は手すりと転落防止用の網が肩の辺りまであったので写真やビデオを取りながら歩いていたが、だんだん網の背丈が低くなってくると怖くなってきたので集中して歩くことにした。それにしてもどうやって作ったのか気になるところである。
自分たちの組はエマニュエル先生を先頭に、アブー、ジュリー、自分と続いていく。ジュリーは少し怖がっており、アブーがからかっていた。アブーが橋を揺さぶるとジュリーがやめなさいと笑いながら声を上げている。
canopy walkway
後ろから続いてくる人を観察していると、冷や汗を額に流しながら独り言をつぶやいている女性がいる。どうやらお祈りをしながら歩いているようだ。神様、仏様というのは聞いたことあるが、本当にお祈りをする人というのは初めて見た。
吊り橋は全部で7つくらいあったと思うが20分程度で渡り終わった。見るべきところはここだけらしく、あとは下山するだけである。協力隊の人にあんまり期待しないほうがいいよとは言われていたが、まあこんなものかという感じである。さて、山を下って初めの場所に着くと、エマニュエル先生が受付でスタッフと話をしている。あとで聞いてみると、入場料の割に何もないじゃないか、もっと改善のしようはあるだろうということを伝えていたようだ。さすが学校の先生だなあと感慨深かった。観光業が盛んとはいえないガーナでは過度な期待は禁物であるが、この入場料をとるならもう少し頑張って欲しいところである。
さて、時間は14時を回ったところだ。ドライバーのオズボーンも交えて昼食をとる。竹がしなって自然の日陰を作り出しているベンチにみんなで腰掛けた。
さっきエルミナで買ったハイネケンとお弁当をいただいた。ここで驚いたのが、オズボーンにも、とお弁当とそしてビールを渡している。ええ、ドライバーも飲んで大丈夫なの?と思うが至って普通といった様子だ。お弁当とビールを手にしたオズボーンはすごく嬉しそうである。ビールは日常的に飲んでおらず、久しぶりなのだろうか。
お弁当のメニューは、ジョロフライスとチキン、そして卵である。アブーは鶏肉も食べないとのことで、卵が2つ入っていた。そういえばアブーとご飯に行くと、アブーは基本的に魚を食べていたな、と思い出した。
日曜日の昼下がり、皆でゆっくりとした時間を過ごす。話の中で、オズボーンは携帯電話に2日で1セディをつぎ込んでいるといって嘆いていた。アフリカではどこに行ってもみんな携帯電話を持っていることを不思議に思っていたが、やはり中毒性というか、携帯電話に払うお金は特別のようだ。
ご飯を食べ終わるとタコラディへと戻る。再び海岸線のドライブである。
帰りは寄り道をして色々なところを見せてくれた。ケープコーストではケープコースト大学の構内に初めて入ることができた。ケープコースト大学には門が3つあるが、現在西側の門は使っていないそうだ。また、ガーナには国立大学は4つ(?)ほどしかないとのことである。非常に少ないと言えるが、それは大学進学者数が極めて少ないことを物語っている。
また、セコンディの入り口で、Takoradi thermal power plantという看板を見かけた。タコラディには発電所があるのか。発電所はテマにあると聞いていたので,てっきり近くにはないものと思い込んでいた。近くに発電所があっても停電は起こるものなのだなあと思う。
セコンディは行ったことある?とエマニュエル先生に尋ねられるのでないですと答えると、じゃあセコンディを周って帰ろうということになった。セコンディはタコラディと双子の都市と言われているが、規模的にはタコラディの方が大きいようである。ココンペのウェブサイトを作ろうとしたときにアブーにSTMAという役所で許可をとらなきゃねと言われていたが、STMAはセコンディにある。セコンディの中心部はロータリーになっていたが、そのロータリーから100mくらい行ったところにSTMAの建物はあるようだった。
セコンディからタコラディまではCape coast Rd.という海岸線沿いの道でつながっている。沖に足場が浮かんでいるのはずっと石油の採掘をしていると思っていたが、Fishery harbour とのことで、油田ではないそうだ。
TTIに到着すると、時間は17時前である。チャイムのプログラムを作ってしまおうと思っていたので、アブーに鍵を借りてラボに向かった。キーパッドのプログラムを作っていると日も暮れて暗くなったので、明日の朝家で作業をするためにArduinoとジャンプワイヤなどを持って帰路に着いた。