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新しいビジネスへの期待

朝ホテルで、ベンとスタートアップやらについて話をしていると、もしチームと資金があったら、ガーナで一番やりたいビジネスは何かと聞かれる。 自分の理想はFabLabの中にメイカースペースとインキュベーションスペースの2つを作って、スタートアップからの利益が還元されるようなシステムだと説明する。TechShopとY-Combinatorを組み合わせたようなものだ。 またその理想に加えて、現在有り得るビジネスとして物流の仕組みの改善があると伝える。 例えば、なぜアマゾンのようなオンラインで決済できて配送までやってくれるサービスがないのか、という点だ。 この問題は2つのスコープを含んでいて、1つは決済、2つ目は配送である。 配送の問題は道路のインフラを考えると難しいが、GPSを使った住所特定などは、今実行可能なプランとしては見込みがある。 自分がより興味を持つのは、ネットワーク上の決済に関してである。 大部分のガーナ人はクレジットカードを持たないので、クレジットカード/Paypalを使ってECサイト上での決済を行なうことは出来ない。 ECサイトは存在するが、決済手段としては銀行口座への送金、モバイルマネー、そして対面での手渡し、というのが候補だそうだ。 この部分を改善することができれば、国内でのECサイトの利便性が上がるだけでなく、海外への送金も簡素化される。 ベンに誰もやらないならやっちゃえよ、10年で次のイーロン・マスクになれるぞ、とおだてられると、まんざら冗談ではなく、そうかもしれないなと思っている自分がいた。 ホテルを出ると、タートルという車を作っているプロジェクトを見学すべく、スアメ・マガジンへ向かう。ここにはITTUという中間技術を支援する団体のオフィスがあるのだが、プロジェクトを統括していたオランダ人に連絡をとった際に、とりあえずここに行けと言われていた。 ITTUに着くと、中のガレージでは自動車整備が行われていた。タートルを見たいのですがと言うと、今はここにはなく、プロジェクトを主導していたワコさんという人がいるSofolineという場所にあるそうだ。例のオランダ人に聞いてワコさんにも連絡はとっているのだが、まだ連絡がない。 実際に行ってみることにする。 それにしてもクマシは案外広く、Sofolineは中心部から西に離れたところにあった。実際その場所に行ってみることは出来たのだが、ワコさんがアクラに行っていて不在なので、出会うことはできなかった。可能ならまた来週会えるかトライしてみよう。 Sofolineを後にすると、アドさんに会うべくクマシ工科大学に向かう。アドさんとは一通り情報交換を済ませたが、彼はいま電力利用を削減するキャパシタ・バンクを使ったビジネスを、工場に対して行なうことを画策しているようだった。 他にも自分が進めているブラシレスモータの話などをしたが、学校側にプロポーザルを出せば一緒にプロジェクトを行なうことは可能なようなので、これも次回は挑戦しようと思う。 アドさんには留学のことも聞かれたが、ガーナの大学における昇進システムでも、学位は問題になるらしい。実際には講師になる際に、修士が必要だそうだ。1,300セディと聞く給料では、KNUSTの修士の学費も決して安くはないだろう。 さて、アドさんに決済システム、モバイルマネーの話をしてみると、彼も興味を持ったようである。モバイルマネーが口座と連携しているのか、という点について調べるために、実際に銀行に行ってみることにした。Zenith bankで聞いてみると、自分たちはモバイルマネーはやっていないという。隣の建物でTigoのモバイルマネーを売っていたので聞いてみると、バウチャーを購入して口座にチャージし、送金を行なうシステムのようだ。 クマシで食べたフライドライスは安くて美味しかった。 人も心なしかフレンドリーな印象を受けた。 またすぐに帰ってきたいと思い、タコラディへのミニバスに乗った。

09. March 2016
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現地ハッカーとの邂逅

朝10時にクマシ・ハイブでジョージと出会う約束なので、タクシーに乗ると、最寄りのジャンクションで降りる。 学校の裏、というざっくりとした住所であるし、看板もないのでうろついていると、向こうから白人の女性がやってきた。 彼女がクマシ・ハイブの共同創業者のアナだった。 彼女に連れて行ってもらったのは、まだ使われていない部屋も多い、越してきたばかりというメイカースペースだった。 アナはもう一人イギリス人のベンという人と一緒だったが、彼もこのメイカースペースでボランティアのような活動をこの3週間行なうとの事だった。なかなか良い人で、結局この日は彼が泊まっているホテルに自分も泊まることにし、夕方バンクーを食べながら、色々な話をすることになったのだが。 さて、クマシハイブでは現在ハードウェアスタートアップとして数々のプロジェクトが走っており、ステータスとして一番進んでいるのが、教育用のプロトタイピングキットであるScience setだった。包装も小奇麗にしており、気を遣っているのが伝わってきた。 他にも電灯につけて電力量などをモニタリングできるデバイスや、インターネットがなかなか利用できない遠隔地で教育を可能にするためのRaspberry piでできたデバイスなど、いくつかのプロトタイプを見せてもらうことができた。 ほかにも病院・医療用途でのアイディアを多く持っており、アグレッシブに活動しているのが伝わってきた。 鍵が見当たらないとのことで、あいにくKNUSTの中のラボは見学することができなかったが。 彼らとも今後ハッカソンの開催などで、協力できたらと思っている。

08. March 2016
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一路クマシへ

夜早く寝たので早くに目が覚める。 どうやらこのままいくとTTIでの活動がスタックしてしまいそうなので、別のアプローチはないかと考えていると、クマシで車を作っているオランダ人とガーナ人がやっているプロジェクトのことを思い出す。 Suame magazineという場所は車を修理する町工場の集積地区で、ここでガーナ製をうたった車をつくっているそうだ。 早速代表者らしいオランダ人に連絡をとってみる。 他にもクマシにはクリエイティビティ・グループというクワメ・エンクルマ科学技術大学の学生たちがやっているメイカー集団がある。以前彼らがファブラボを訪問したとは聞いていたが、スタートアップの様な話や、キャッチーさを求めるように見える(実がないように見える)のがスティーブンには刺さらないようだったので、今まで彼らとコンタクトをとったことはなかった。 だが、調べてみると彼らは現在もアクティブに活動していることがわかってくる。この地では目につきやすい新しい活動はメディアにすぐに取り上げられるが、なかなか継続して根付かないという印象を持っている。 だが、取り組みを続いているのは強い情熱や何かがあるのだろう。これは一度会って話をしたいと思うようになった。 思い立ったが吉日、すぐに家を出ると、クマシ行きのバスが出発するターミナルに行く。 10:30頃にバスに乗ったが、出発したのは12時過ぎだった。 クマシへ向かう車窓からは、独立記念日を祝う催し物の姿が見えてくる。 こないだ建設が進んでいて驚いた線路沿いの場所は、Kojokrom Transport Terminalというそうだ。 Kojokromといえば、ベネディクタが住んでいた場所だ。 彼女もやる気はある学生だったが、今はどこで何をしているのだろうか。 人が必ず一定期間で入れ替わるのが学校の常だが、卒業してもファブラボに遊びに戻ってくるような仕組みができればいいのだが、と考えていた。 山間部ではWi-Fiは使えないが、市内に近づくと使えるようになる。 ツイッターでのリプライが返ってきて、明日の10時に会う約束になった。 クマシに到着すると18時を過ぎていた。今日はもう行動はやめてホテルで休むことにする。 高揚感もあってか、普段は泊まらない、一番高そうなゴールデンチューリップに行くことにした。 一泊671.5セディ、夕食のビュッフェは85セディと超高級の値段だが、上を見ておくのも勉強だろう。 ロビーはガーナ人でにぎわっている。彼らは一体何の仕事をしているのだろうかと、不思議に思っていた。

07. March 2016
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知識を共有することの大切さ

なかなか煮え切らない日々が続いている。 疲れてる?と聞かれるのは、肉体的ではなくむしろ精神的にプレッシャーを感じているからだろうか。 今日はGSMモジュールをテストしたいと思っていたが、ラティーフにLEDを使った看板をATmega328pを使って駆動する方法について尋ねられたので、そちらを手伝うことに。 22pFのキャパシタを彼に渡すが、16MHzの振動子は持っていなかったので、町で探すように伝える。 それにしても、自分が過去に持ってきたArduinoやAVRなどの部品はどこへ行ってしまったのだろうか。 何かものを作ったのでそれに使ったというのならわかるのだが、特に何か進展があるわけではなさそうだ。 もちろん教育現場であるので実験で使ってくれても良いのだが、誰かが取っていってしまったのではと疑ってしまう。 なあなあになってしまうとまずいとは思っているのだが、こういうのも少しずつ自分の精神を疲弊させていくようだ。 EAGLEで基板を設計してMODELAで作るように言うと、なんとMODELAの使い方がわからないという。何年もFabLabにいるにも関わらず、MODELAを使えないとは驚くべきことである。 ダグラスが教えてくれないからだ、とクムシンとラティーフが不平を言っているが、ダグラスの性格では彼に教えるようにいっても無駄だろうと思ってしまう。ただし、このままだとレーザーカッター以外のスキルが永遠に継承されないだろうという危機感も抱く。 これは、教材があれば解決する話なのだろうか。それとも、どうにかしてダグラスに教えさせるしかないのだろうか。 スティーブンとも話をしたほうが良いかもしれない。 その後はAVRをスタンドアロンのArduinoとして動かす回路図をホワイトボードで説明し、EAGLEを使った設計をプロジェクタを使って解説する。そしてcam.pyでrmlを生成するも、うまく動かないようである。 本当はUbuntuのインストールされたマシンでcam.pyを動かしたいのだが、以前はあったUbuntuのマシンがなくなっている。 どうしてこうも物がなくなるのだろうか。このようにして、できることがどんどん狭められていることは、本当にやるせない。自分が個人的に買って寄贈しても、また誰かが持って行ってしまうのではという気にもなってしまう。 その後はcam.pyはとりあえずあきらめて、クムシンにシリアル通信でPCからサーボモータを動かす方法を説明する。 Processingと連携させたり、Raspberry piにつないだUSB WebカメラとOpenCVで顔認識し、認識した顔の方向にサーボモータを振るというプログラムを作って見せると、喜んでいた。 だが、これでは単なる実験にすぎない。 自分は電子工作の実験がしたくて来ているわけではなく、この先に進みたいのだ。 夕方になって家に戻り、布団に横になるともう動けない。 何か突破口になるアイディアはないかと、思いを巡らす。 ふともっと身の回りの問題に目をむけるべきでは、と考える。 もっと言うと、自分が今日感じたようなFabLabの問題である。 知識の共有、機材のメンテナンスなどの問題は、何かハードウェアで解決できることなのだろうか。 ほとんど組織の問題に近い気もするので、もので直接解決できるわけではなさそうだが。 この問題群のなかから、今もっている解決手段で解決できることを抽出するのが、自分のやるべきことなのかもしれない。

06. March 2016
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作業初日は苦戦

朝起きるとタウンに買い出しに。 久々のトロトロに乗ると、普段60~70ペソワだったのが、1セディに値上がりしていた。コインより札の方がメイトも数えやすくて良いのでは、などと考えていた。 タウンに着くと、いつものAll needs supermarketに向かった。蚊取り線香やシャンプーなどを購入する。店内を奥へ進んでいくと、以前壁だった場所がくり抜かれて新しい空間ができている。2階への階段もあるが、まだ増築中のようだ。この一年間の変化は、以前の三年間を凌ぐペースに思える。 レジで使っているPOSを覗き見ると、Tally ERP9を使っている。昨年開発していたシステムでTallyへのExport機能というのがあったが、こういうところに目が行くようになったのは面白い。 MTNへインターネット用のSIMを購入しにいくも、パスポートがないと販売できないと言われて、一旦家に取りに戻ることにする。 トロトロから外の景色を見ていて、地名を記した青い標識が去年1年間に新しく建てられたものだということに気づく。Pipe anoやEffia Kumaを記した標識は今までなかったものだ。このおかげでEffiaとEffia kumaが別の地名だと初めて知った。 家に戻ってパスポートを取ると再びタウンに戻る。インターネットバンドルは6GBで80セディ(約20ドル)だった。前はもっと高かった印象があったが、これは日本の格安SIMに比べても安いのではと思う。その後You 84でフライドライスを食べる。 午後はFabLabで早速作業と行きたいところだが、家に戻るとベッドに横になった。まだ作業していないのに、体が休息を欲している。気温は暑いことは暑いが、灼熱というほどではない。照りつける陽射しによる消耗が激しいようだ。 少し休んでからFabLabに向かって、クムシンと今回つくるものについて話し合う。 まず遠隔制御の通信できる要素技術にはBlutoothやWi-Fi、GSMなどがあるよね、と話す。彼いわくIRセンサがガーナで手に入るので、それも候補に入れようと話す。ここまではなかなか調子がいい。 ただし、それで何を動かすか、という話になると途端にまずい感じになる。 例えば、以前別の学生がアクリルで作った自動ゲートのプロトタイプを指差して、あれを遠隔で動かそうと言う。そのプロトタイプは、CNCのように送りネジで扉を動かすもので、動くものを作ったという点では評価すべきなのではあるが、デモどまりというか、そこから先の展開がないのが惜しい所なのである。自分はプロダクトの製作を考えているので、自動開閉ゲートをつくるなら、フルスケールのモデルが欲しいのである。 レーザーカッターでアクリルを切って作れてしまうがために、どうしてもプロトタイプというものに目がいってしまうのかもしれない。もしかすると、工業高校のレベルではこの程度、という暗黙のリミットがあるのではという気もしてしまう。リアルに役立つものをつくろうというマインドの点では、工科大学の学生の方に軍配が上がるのだ。 (後で考えみると実はこれはこれでよく、何かその現状を逆手に取る方法があるのかもしれないと思ってもいる。) どうすれば高校生にとって実際のプロダクトをつくるというマインドが実感できるのだろうか。アブーのCNCのように、アクリルであってもフルスケールで動くものが作れるとは思うのだが。 本来であれば製作者の中から使い途の候補が湧き出てくる、というのが自分の主張している筋書きなのだが、当然のことかもしれないが、他の人の意見もとりいれたほうがよさそうだ。これにはクロードやアベル先生など、色々と口を出しそうな人がよいかもしれない。 また、ラボのシーリングファンをハックしようとこちらから提案すると、それはやめてエレクトロニクスラボのACモーターを実験用に使おうという。それはわかるのだが、自分が言いたいのは、要はプロブレム・ファーストであって、もしACモーターを使って実験できたとしても、それを使って何をするかという議論が起こってスタックするのは目に見えている。最初から特定のアプリケーション、つまり出口を設定してから攻めないと、事前の仮説が検証できないだろうと考えているのだ。 その後は持ってきたBlutoothのモジュールのPINをリセットしようと悪戦苦闘していると、無為に時間が過ぎてしまった。他にも秋月で買った40AのSSRキットの基板が間違っていたこともあり(勘弁して欲しい)、少しすすめる手順を整理した方が良さそうだ。 そうこうしていると、ジョンたちがラボに来たので、持ってきた部品を端数をまけてまけて3,800セディで売ることにした。月曜が祝日で(独立記念日であろう。去年はこの日に帰国したのだ)、次に銀行が空くのが火曜日ということなので、その日に代金を回収する運びとなった。 作業初日はかなり疲れてしまったが、まだ始まったばかりなので、気を取り直していこうと思う。 クムシンが顔認識技術に興味を持っていたので、明日はラズベリーパイを使った顔認識の実装を試してみようと思う。正直どのように使えるかわからないが、製作者が興味を持った部分を大切にして、関心を失わないようにすることが大事なのではと思っている。

05. March 2016
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