AVRのプログラミングを教えるの巻

朝8時にエマニュエル先生が部屋に迎えに来てくれた。

今日は快晴。早速ファブラボへと移動する。

アレックス先生が家庭菜園の手入れをしていた。プランテーンを育てているそうだ。鶏も飼っているとのこと。そういえば明け方鳴き声を聞いた。

教員宿舎で自給自足できるところが懐が深い

朝ごはんにとククという飲み物と、クスという揚げ物、あと煎ったナッツを食べた。

ククは、なんというか雷おこしを煮たようなあったかい飲み物。ほんのり生姜の香りがしていた。

結構ボリュームがある

筆者は雷おこしが苦手だが、バングラデシュでの経験以来、出された食べ物は吐いても食べるのがモットーなので完食した。

さて、部屋にはダグラスくんしかいない。一人で横断幕を作り終えると、携帯電話を修理したりその他の作業にいそしんでいる。

暇なので彼に話しかける。

なにかいま作ってるの?と聞くと、部屋の騒音を測定してLEDの色を変化させる回路を作っているらしい。

何の用途に使うのか聞いてみると、これはポリテクと一緒にやっているプロジェクトで作っているのだと言っていた。

ロータリースイッチのスイッチングの機構でいま悩んでいるという。マイコンでやればすぐなのに、と思ってAVRとかPICとかのマイコンは使ってないの?と聞くと、AVRはあるといい、見せてくれた。

棚から取り出してくれた

見せてくれたのはAVRライタであるSTK500。ただし使った形跡はないようだ。

書き込みの方法が知りたいようなので、自分の持ってきたAVR ISP mkIIでできるよと伝えると見せてくれという。

ここでスーツケースの出番である。

まずはソフトウェアでいうHello, worldにあたるLEDの点滅を試してみる。

ATTiny2313を何個か持ってきたと思ってたらATmega88P-20PUしかなくて焦ったが、データシートをダウンロードして、あとコードを書き換えて対応した。

書き込みを行う。ここはガーナ。テスターに書かれた秋月電子通商の文字がまぶしい。

チップへの書き込みに成功してLEDが光りだすと、無安定マルチバイブレータだ、とダグラスくん。

さすがアナログ回路には慣れている。

ここで若い先生が部屋に入ってきた。自分のプロジェクトのサポートをしてくれるとのことで有難い。彼とプロジェクトの概要をブリーフィングしていると、他の生徒も集まってきた。

持ってきたプロトタイプの動画を見せて、磁石がどこで手に入りそうか、 あと筺体を金属で作るか木材を作るかなどの製作に関する議論ができたのは良かった。部材は動力軸とのジョイント部の強度を考えて、金属で作ることになりそうだ。

思ったより話がダイレクトに進むので、もう少し詳細な資料、具体的にはラフ図面とプロジェクト遂行スケジュールを作っておこう。

昼ごはんを食べ終わると、ダグラスくんがSTK500の使い方を教えてくれという。このライタはいじったことないけど、なんとかなるだろうと思いマニュアルに目を通す。GCCのコンパイルは通るけど、WinAVRが認識しないんだよなぁと四苦八苦していると、AVR Studio4にはAVR Progという書き込みソフトが入っていることを知った。いざ書き込む前にSTK500のファームウェアのアップデートを終え、無事にATmega8515Lに書き込むことができた。

書き込みに成功!後ろの黄色いLEDが光っている

このときのみんなの大喜びの顔が忘れられないなぁ。こっちもすごいテンション上がったわ。しかもキットだからLEDがとても綺麗に光る。

これでステッピングモータのドライバが書ける、と喜ぶアブー。マイコンってすごいよなぁ、いちいちロジックゲートから設計しなくてもいいんだよなぁ、と嬉しそう。いや、アナログ回路を設計できる君たちのほうがすごいと思うが。こっちはマイコン使えないとお手上げだから。

このSTK500もMITからの寄贈だそうだが、これまで誰も使って来なかったと見える。パーツ棚を見るとATtiny26が転がっているが、これも誰も使ってこなかったのだろう。

宝の持ち腐れだったAVRライタの使い方を教えただけでもガーナに来た甲斐がある気がしたのであった。

あと特筆すべきが、ファブラボガーナには近くの小学生が遊びに来ているのだけど、彼が説明を一言も聞き漏らすまいとメモを取っていたこと。あの真剣な眼差しはこっちも本気で教えなければという気にさせた。

全力でメモを取る少年。日本の小学生は全力で彼を見習うべし

DDRレジスタの設定とか、ちょっと難しいところは何回も聞きなおしてきてくれて、理解したみんなで教えてあげた。あとで話したところだと彼はロボットとかラジコン飛行機とかのリモート制御システムが作りたいみたい。こんな熱心な生徒には色々教えてあげたいなぁと、初めて先生という職業の充実感を味わった気がしました。

マイコンで色々作りたいぜ!って感じでワクワクしてるみんなを見て、マイコン使ってこんなん作ったことあるんだけどって、前に自作した装置の動画を見せてみた。


案の定、すげぇぇって笑ってくれて良かったです。仕組みはどうなってるの?と聞かれたのでノートに書いて説明した。

もはや先生になった気分

マイコンのファームウェアをArduinoで書いてるので、そこはちょっと意味不明だったかもしれない。いずれにせよ、俺たちもこんなん作ってやるぜ、ゲートを遠隔操作で開けるんだって意気込んでくれたのは非常に良かったです。

晩御飯はアブーにTTIの目の前のChop barに連れて行ってもらった。ティラピアの入ったスープにライスを食べた。

スープは唐辛子が利いていて美味しい

店を出てぶらぶらと自分のプロジェクトについて話をする。アブーがAutoCADでシステム構成図面を作ってくれるそうなので、こっちもRhinocerosで部品図を設計して行こうと思う。アブーは昨日Fab8のプレゼンでAM1:30までファブラボに残留していたらしいのに、よく頑張る人です。なんてハードワーカーなんだ。

アフリカでも使うツールはあんまり日本と変わらないけど、家の前から後ろを振り返ると完全に真っ暗闇なのでアフリカにいることを思い出すのでした。

24. August 2012
Categories: FabLab | Tags: , , | Leave a comment

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