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発電機をゲット
今朝はクレジットが失効した携帯電話をチャージしようと思い、7:30くらいにTTIの近くのキオスクをぶらつくも、この時間はまだ店が開いていなかった。だいたい8:30とか9:00くらいにならないと店に人は来ないようだ。 携帯が使えないので、8時前になるとエマニュエル先生の家に向かっていった。すると水売りのトラックが停まっている。水を買いに行くのは大変な作業だと思っていたが、集合住宅ではこういう売り方をしているのか、と納得する。 水売りのおじさん さて、ラボに行くも今日は人がまだ来ていなかったのでアブーの到着を待つことに。しばらくするとアブーとアイザックがやってきたので、土台を新たなパーツに交換する。 底板の交換 そして磁石が現在いくつ手に入っているかを確認するために、スロットに合うように磁石を数個組み合わせてユニットを作り、マスキングテープで巻いてひと固まりにしていく。 ローターのスロットに磁石を埋め込んでいく すると、48個のユニットがあることがわかった。これだと若干少ないので、磁極の数を増やす目的で、各ユニットを薄くすることにした。こうするとユニットは65個程度になるので、残りは15ユニット、磁石で言うと30個程度があればいい計算になる。これだけの数を月曜日に集めることができるか。 数え終わった磁石 ちなみに今日も子供たちがラボにやってきた。いま写真を見ていて気づいたが、この子たちは兄弟だったのか。眉毛がそっくりである。 ラボに遊びに来る兄弟 彼らとのやりとりで興味深かったものとして、こんなものがあった。ガーナで何食べてるの?と聞かれたので、みんなと同じだよ、ライス、バンクー、フフ、何でも食べるよと言うと、僕はフフもバンクーも好きじゃない、ライスが好きだという返事が帰ってきた。隣の子供も僕もライスがいいと言う。これは意外だ。というのも、アブーとご飯を食べにいくとほとんどバンクーしか食べないからである。さらに子供たちの要求はとどまることを知らず、お腹がすいた、家にお米ないの?と聞いてくる。自分は自炊はしていないので、お米はないよ、家に帰って食べなさいと言って別れたが、この件が気になったので後でアブーに質問してみた。アブーの見解では、子供たちは毎日フフやバンクーを食べているのでフフやバンクーには飽きており、たまに食べられるライスが好きなんじゃないかな、とのことだ。 土台を完成させると、いよいよ発電機を購入すべく町へ向かう。発電器の店に行く前にハードウェアショップでスクリューを購入したのだが、ここでも面白いことがあった。1ダースいくら?と聞くと2セディという。自分たちはスクリューが48本必要なので4ダースくださいというと、おじさんはスクリューの数を数え始めたが、アブーが異変に気づいた。「おじさん、それいくつです?」するとおじさんは「この塊が24個、それが4つ」とのことだ。どうやら1ダースは24個だと思っているらしい。そこでアブーが、それだと多すぎます、2ダースにしてください」と伝えると、48個にしてくれた。不思議ではあるが、今までずっとそうして来たということは特に問題はなかったのだろう。価格は4セディになったので5セディを渡すと、2セディお釣りをくれたので、「おじさん、1セディお釣りが多いです」とアブーは言って、1セディを返して店を後にした。正直に申告しあうのは素晴らしいところであるが、少し悠長でもある。 そして次はあたりをつけていた発電機の店へ向かう。手頃な大きさの発電機があったので、これをくださいというと、それは故障してる可能性があるから売らないと言われてしまった。自分たちが欲しい発電機は小型のものだが、なかなか所望のサイズは見つからない。次の店をあたり、その次の店、と結局4軒ほど回ったところで良さそうな発電機を売っている店を発見した。 発電機とポンプを売っている店 発電機を売っている店はポンプも売っているのが常である。さて、この発電機の出力はいくらですか?と確認すると最大出力が1.5kWだそうだ。出力は十分そうなので、これをくださいというと、もう一つ同じ出力のものがあるという。最初の方はガソリンだけで動かせるが、もうひとつの方はガソリンとオイルの混合油を用いるそうだ。価格は前者が400セディ、後者が350セディとのこと。アブーとどっちにしようと話すと、耐久性を考えると前者の方がよさそうだと言う結論になり、最初の方をくださいと伝える。TTIでやっているプロジェクトで使うんです、今までにかなり出費して、これが最後の部品なのでまけてくれませんかとアブーが頼むと、380セディまでまけてもらうことが出来た。 購入した発電機 店の息子がガソリンを入れてエンジンをかけてくれると無事に始動した。 オーナーが使い方教えようか?とアブーに言うと、 「大丈夫です、自分はエンジニアなので。この発電機をこれから分解するんですよ」と笑いながら答える。アブーは自動車科で学んだので、原動機はお手のものである。するとさっきまでは威勢の良かったオーナーも、そうか、じゃあまた来た時に逆に教えてくれと言われていた。なんともはや。 発電機は重いので、店からTTIまではタクシーを拾った。ラボに着くと、早速オルタネータのカバーを開けてシャフトの様子を確認する。 オルタネータの分解 話し合った結果、オルタネータから出ているシャフトの径にあわせて旋盤でシャフトを削りだし、Φ12のベアリングが入るように外側だけ径を変えたシャフトを作ることにした。Φ12のベアリングは鉄板に溶接し、鉄板ごとオルタネータにネジ留めすることとする。 そしてオルタネータの外側に引き出したシャフトにはプーリーを溶接し、 プーリーベルトでローターのプーリーと接続することにした。プーリーベルトを張るための仕組みとして、余っているプレートにスロットをつけて引っ張る仕組みを作ることにした。これらの加工は月曜日に行うことになるが、一日で完成させなければならない。 発電機に関するディスカッションが終わると、アブーはローターの中央に挟み込む中敷きの板を作るために、もう一度AudioCraftに向かっていった。その間自分はステッピングモータの回路に取り組む。朝試したみたところマイコンからの出力が出ておらず、結局ブレッドボードを使うよう変更したのだ。 アブーが帰ってくると、明日は何時にラボに来るの?と聞かれたので、いつもと同じ9時頃に来ようと思うと言うと、自分は明日の朝は洗濯をしたいので、ラボの鍵を渡しとくよと言う。アブーは日曜日にたまった洗濯物を片付けるのが習慣のようだ。手洗いにこだわりがあるようで、アメリカに行ったときに毎日洗濯機を使っていたが、どうも綺麗になっていない感触があって、手で洗わせてくれと思っていたそうである。手洗いするのはいい運動にもなるので、運動する時間が取れない最近では調度良いとのことだ。 ここでアブーが、「不思議に思ってたんだけど、今回の滞在ではまったく旅行に行かなかったよね」、と尋ねてくる。そうか、アブーも不思議だと思っていたのか。そうなんだよ、2、3週間でプロトタイプを片付けて時間が余ったら旅行しようと思ってたんだけど、と自分の本音を話す。思い返すと今回の製作にはかなりの時間を要したが、その理由は材料が手に入らないことが一番の理由であった。先週はカクム国立公園に行こうという計画があったが、アクラに磁石を調達しに行ったために、その計画は流れたのであった。すると、もし良ければ明日どこか行かない?と提案してきてくれた。これは素晴らしい提案である。自分も旅行したいと思っていた、ここから近いブスアビーチにも行ったことないし、というとじゃあブスアビーチに明日行こうか、となった。 夕食をChop barで済ませると、エマニュエル先生の家に伺い、明日の外出の話をする。最初はブスアビーチに行こうと思いますと伝えたが、エマニュエル先生やジュリーの話を聞いているとカクム国立公園の方が楽しそうに思えてきたので、行き先を変更することにした。するとエマニュエル先生は、もしかすると学校のドライバーにピックアップを頼めるかもしれないと言って校長先生に電話をして下さった。結果はOKとのことだ。出発は明日の10時である。 明日は今回の滞在において最初で最後の観光を楽しむことにしよう。
CNC、それは無限の可能性
今朝は5時に起きるも、睡眠が足りなかったので眠くなり二度寝をすることにした。すると8時過ぎにダラーリが家に来た。携帯電話のクレジットが切れており、エマニュエル先生からの電話に出られなかったことを悟る。2セディおよび1セディのチャージで電話が利用できるのは6日間のみのようだ。
ムチャぶりからの本領発揮
朝6時前に目が覚めると、むちゃくちゃに腰が痛い。寝返りが打てないほどだ。昨日の午前中から腰の調子がおかしく、すぐに治るだろうと思っていたが逆に悪化している。腰を曲げると痛いので靴下を履くこともままならない。ベッドの腰のところのリブがちょうど抜けているので、腰が湾曲した状態で寝ていたのが原因だろうか。だとしてもあまりに急だ。原因はわからないが、安静にすることにしよう。
CNCへ最後の望みを託して
エマニュエル先生の家で朝ごはんを食べていると、アイザックがラボの鍵を取りに来た。 アイザックいわく、学校があるときは7:30か8:00にはラボに着くらしい。 ラボに着くとダグラスがスティーブンから注意を受けている。温厚なガーナ人でも言う時は言うのだと思った。 さて、今日はまずベルトコンベアを転がすローラーを作成する。これにはボール紙を使うのでアイザックに買いに行ってもらう。その間、CNCのステッピングモータの回路を再度チェックする。Hブリッジは高野君に買ってきてもらったMP4401に交換した。MP4401の使い方がいまいちわからず悪戦苦闘したが、結局CATHODEはGNDにつながなくてもいいことと、SOURCEはVccでなくGNDにつながないといけないことに気づいた。これはアブーが回路図をじっと見て指摘してくれたことであるが、やはり原理に立ち返るという姿勢が大事である。 さて、アイザックが帰ってくるとボール紙は手に入らなかったとのことなので、模造紙を使うことにした。模造紙を60mmの幅で短冊状に切っていく。 模造紙を切る そして切った模造紙に接着剤を塗り、少し乾かす。 紙に接着剤を塗る 良い感じに乾いたところで、接着剤を塗った真鍮のリングを模造紙の左右に配置してぐるぐる巻いていく。しっかり巻くとローラーの完成だ。紙はきつく巻くと結構固くなるなあと改めて認識する。小学生の頃短冊状に切った紙を巻いてコマを作った時に、最後にニスを塗るとカチカチになって、これが元は紙だったんだなあと感動したことを思い出した、 紙と真鍮のリングで作ったベルトローラー さて、5つのローラーが完成すると次は備え付けの作業だ。 土台の組立て作業 良い感じに配置できた。プーリーベルトを通す穴がないことに気づいたので、ノミを使って底板に穴を開けようとするもノミが見当たらない。するとダニエルがアルミニウムの端材の板をグラインダで削ってノミを作り始めた。道具がなければ自分でつくるのだ。 プーリーベルトを通す穴を開ける さて土台はできたので、ドライブシャフトと円盤を固定する作業がある。ドライブシャフトに穴を開けてスクリューを通し、キーとすることを考える。ドライブシャフトへの穴あけと円盤の中心の穴を拡張する作業を行うために、機械科の工房へ向かう。 加工の終わったドライブシャフト 工房で作業していると、士官学校の生徒たちが訓練を行う掛け声が聞こえてきた。 訓練中の士官学校の生徒たち 生徒たちは腕立て伏せや行進の練習をしている。TTIには空軍の士官学校があるそうだ。訓練はもちろん真剣にやっているが、ときおり笑顔を見せるのが高校生らしいところだ。女生徒も一人いたのが興味深かった。 さて、ボール盤で木の円盤の中心に開けたΦ11の穴をΦ12に拡張しようとするも、なかなかうまくいかない。結局ヤスリ掛けをして穴を広げる作戦に変更し、ラボに戻る。 ヤスリを使って穴も広がり、キー溝としてのスロットもうまくつけられたので、組立作業だ。ローターを取り付けて回すとY方向への揺動運動があるが、これは木の円盤の軸がまっすぐでないことが原因だ。これだけならいいのだが、大きな問題は円盤の重心が中心からずれていることだ。ローターの軸の中心からのずれ、アルミニウムの保持パーツの加工精度、さらには1/8の1区画だけ取り付け個数が8個(ほかは10個)という致命的ミスが積もった結果である。密度が均一でない円盤を回すと軸への負荷がかかるおそれがある。 アブーがここでAudioCraftのCNCへの最後の望みをかけるのはどうだろう、と提案をする。スピンドルが届いたようで、うまくとりつけられれば明日にはCNCを稼働させることができるそうだ。問題はローターだけなので、スロットのついた円盤をCNCで削れば高精度のものを作ることができる。時間はないが、最後の望みとして試してみようとなった。 みんなでディスカッション 日本への出発はいつ?とエマニュエル先生に聞かれたので26日ですと答える。伸ばせないの?と聞かれるが、お世話になった先生の結婚式があるので帰らないといけないんですと言うと、そうかという様子。何としても出発までにみんなで完成させるんだぞ、と力強い激励の言葉をいただく。学校からの支援の要請については、明日が正念場となりそうだ。手こずっているらしく、エマニュエル先生も、完成品を綺麗に写真をとってウェブにアップするんだ。そうしてほかの方面からのファンディングをこれから探していこう、学校側から申し出があっても断ってやる、と威勢が良い。 したがって発電機については明日を期限として待つ、明日ダメだったら自分が購入するという線で合意した。 ステッピングモータの回路を仕上げる。Arduinoではうまくいくのだが、ATmega単体ではなぜか動作が不安定である。最初はパスコンの容量を疑っていたがうまくいかないのでネットを検索していると、ArduinoのWebサイトにstandaloneという項を発見した。そこに書いてあったのが、電源電圧には5Vのスイッチング電源ではなく、9Vか12Vを三端子レギュレータでドロップして使えとの記述だ。言われたとおりにやってみると、うまくいった! 完成したバイポーラステッピングモータのドライバ回路 これでベルトコンベアを動かすことができる。 ステッピングモータはスプリット式のカップリングを使って、ベルトコンベアのドライブシャフトに直接つなぎ、ダイレクトドライブすることにした。ドライブシャフトはΦ12だが、これは幸運にもステッピングモータのピニオンと径が等しい。 さて、回路は完成したので次はEAGLEでプリント基板のパターンを設計する。 基板CADのEAGLEでパターンを設計 配線のオートルーティングを試すが、やはりうまくいかないのでいつも通り手作業で配線を行う。作り終えるとcmpファイル作成のためにHoleを配置した。また、GNDのポリゴン(ベタ)は貼らないのがガーナ方式のようだ。そしてCAM Processorでcmpファイルを生成する。cam.pyにはバグがあるそうで、二種類のcmpファイルの生成にはそれぞれ1.Top+dimensionレイヤー、2.dimensionレイヤーのみを利用する。dimensionレイヤーのみを利用すると、なぜか穴も開けてくれるそうだ。Holeを指定しないのが不思議である。 さて、生成したcmpファイルをcam.pyで読み込んでツールパスを生成する。 NCコードはcam.pyを使って生成する cam.pyでRMLファイルを作って送信する。注目すべきはドリリング用のエンドミルだ。穴あけで発生した切りくずを書きだしてくれるので、高速で穴あけが可能とのこと。確かに速い。またXおよびYスピードには7mil/secを指定している。これもかなり高速設定だ。 稼働中のMODELA 一回目の切削では下板が平らでなかったためにうまくいかなかったので、下板を交換して再度試す。加工時間は30分程度といったところだろうか。 できあがったプリント基板 無事にプリント基板が完成した。もう時間は9時前と遅くなったので、ハンダ付けは明日に持ち越すこととする。
要素の完成 – あとは発電機
今日は8時30分にはラボに行った。さすが夏休みが終わったこともあり、みんなラボに来るのが早い。